開かれた愛国心と愛国心教育のすすめ   第1回 (全3回)

君は随分熱心に「愛国心教育」を勧めるが、具体的にどのやうな教育を考へてゐるのか。



今、説明する。「愛国心教育」を考へる時に便利な考へ方は、一人の人間を、「個人と国家と世界」の3次元に分けて考へを進める方法だ。たへえば、日本代表で外国チームと戦ふ野球選手は国家の次元で戦ってゐる。あるいは、国連で難民救済の仕事に没頭してゐる人は、少なくとも気持ちの上では世界の立場に立ってゐる。このやうに、一人の人間にも3種類の次元があると前提する考へ方だ。………本当を言ふと、日本以外の国家では、同じ国家の中にも異なる言語・習慣・宗教・歴史があり、時には敵対関係もあるので、このやうにすっきりと3次元に階層だてて考へるのは無理な場合がある。といふよりも、日本の場合が特異な例であるのだが、今は、日本の「愛国心教育」について述べてゐるのだから、外国の場合は横においておく。



それで、君の言ふ「愛国心教育」とは、どのやうな物なのかを聞いてゐるのだ。



今言ふから、そのやうに急かすな。愛国心教育とは、児童生徒が自分の国に愛情を感じて自分の国をより良くしようと努力するやうに導く教育のことだ。なほ、ここで、「国」の意味するものにより、「愛国心」の意味に微妙な相違が出てしまふ。「国」が「出身の地方」(たとへば「言葉にお国なまりがある」「あなたのお国はどこですか」「武蔵の国です」)を意味する場合は、「愛国心」は「愛郷心」の意味となるが、ここでは明治以降の日本人が作り上げてきた「近代国民国家としての日本」、つまり、粗雑だが簡単に言へば、今、僕や君が住んでゐる日本だ。………ただし、………。



ただし、なんだ。



………ただし、もともと「愛国心」といふ言葉は明治になってから作られた漢語であり、江戸時代までには一般的に使はれなかった、と言ふよりも、なかった言葉だ。その意味では、「愛国心」といふ言葉がない方が本当は幸せなのだらうが、このことに触れると、話の内容が日本人の歴史意識や近代化の功罪になってしまふので、今ここでは触れない。



だったら、早く話を進めたまへ。



人間に3次元あるために、3次元の関係によって多くの長所と短所が発生するが、長所としては3者の相互増強関係があり、短所としては3者の抑圧関係がある。だが、長所については、今は採り上げない。短所としての3者の抑圧関係とは、「個人からの抑圧」「国家からの抑圧」「世界からの抑圧」がある。



なんだ、それは。



一つめの「個人からの抑圧」とは、個人が自国・他国・世界のことを顧みず、自分の利益だけを追求する状態だ。先進諸国の「ミーイズム」や一部の多国籍企業が実例だ。ミーイズムは自分の利益だけを考へて、国家に損失を与へることも構はない。また、一部の多国籍企業は国家に税金を払はず、世界中に公害を広めることも躊躇しない。

二つめの「国家からの抑圧」とは、国家間の戦争時に多く見られるやうに、国家が自国民の諸自由を制限・抑圧する状態と、国家が他国さらに世界を抑圧・植民地化するやうな状態だ。

最後の「世界からの抑圧」とは、国連その他の国際的機関が仮に独自の軍事力と経済力を持った場合に、世界の国々と諸国民に対して加へる強制状態のことだ。現在は考へにくいが、理論的には想定しておくべき状態だ。



君の言ふことは分かる。分かるが、今日、愛国心と愛国心教育を議論する時に問題となるのは、君の言ふ、「国家からの抑圧」だ。具体的には、国家が自国民の権利や自由を抑圧する状態と、国家が他国を抑圧・侵略する状態だ。



その通りだ。もっとも、「国家からの抑圧」だけを問題としてとりあげ、ほかの抑圧を無視して議論を進める如き態度は論外・不誠実な議論のしかただ。これは確認しておく。その上で、「国家からの抑圧」を少なくするための愛国心教育を模索・構築しなければならない。これは日本さらに世界中の国家国民の義務でもある。



大げさなことを言はずに、話を進めたまへ。



僕は、日本人の健康な愛国心を育成するために、また、「国家からの抑圧」を減らすめに、児童生徒に、いや大人にも、「日本神話」「太平洋戦争中のインドネシア残留日本兵士あるいはF機関」の史実を教へることを勧める。なぜならば、どちらも、日本人の心性に潜んでゐる「開かれた(個人にも開かれ、外国にも開かれた)愛国心」を明らかにし、将来の「開かれた愛国心教育」の可能性を示唆してゐるからだ。



なんだ、それは。



まあ、聞いてくれ。………しかも、「日本神話」は日本的心性の古層から浮かび上がった物語だから、日本民族の潜在意識に今も潜んでゐる特性を示してゐる可能性が強く、また、「太平洋戦争中のインドネシア残留日本兵士あるいはF機関」の史実は、近代化といふ困難な課題に対して日本国と日本国民が提出した最良の解答だ(と、僕は思ふ)から、現代の諸外国が自国の「愛国心と愛国心教育さらに近代化」を考へる際の叩き台ともなる物なのだ。………と言っても話がややこしくなっただけだから、次に「日本神話」の重要部分とその意義を説明し、さらにその次に、「太平洋戦争中のインドネシア残留日本兵士あるいはF機関」の史実説明と意義の説明をする。聞いたことがないやうな事を言ふかもしれないが、少し我慢して聞いてくれたまへ。









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